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【事業承継税制】贈与税の納税猶予制度から相続税の納税猶予制度への切り替え

2017年11月07日  

事業承継税制は、先代経営者から後継者への社長交代のタイミングで自社株式を贈与することを想定しています(相続の際に自社株式を相続人へ承継することは想定していません。)。つまり、先代経営者が贈与者で、後継者が受贈者です。

それゆえ、先代経営者が死亡する際に、どのように相続税の納税猶予制度へ意向するのかが、明確に説明されていません。事業承継税制に取り組む場合は、この点まで理解しておく必要があるでしょう。

(1)原則的な取扱い

先代経営者が死亡した場合、後継者が先代経営者から相続によって自社株式を取得したものとみなされることになります。ただし、自社株式の評価額は、相続時ではなく贈与時の価額によることになります。
この場合、先代経営者が死亡した日から6ヶ月以内に贈与税の「免除届出書」を税務署長に提出することによって、これまで猶予されていた贈与税は免除されます。
また、自社株式について相続税の納税猶予制度の適用を受ける場合には、相続開始日から8ヶ月以内に経済産業大臣に申請を行い、10ヶ月以内に相続税申告を行う必要があります。

(2)事業継続期間の要件はどうなるか?

贈与税の納税猶予制度が適用されますと、以下のような事業継続期間(経営承継期間)の要件が課されます。
① 代表者であること
② 雇用の8割以上(平均)を維持すること
これに加えて、事業継続期間を終了後も続けて課せられる要件として、③ 株式を継続所有することもあります。
この点、相続税の納税猶予制度の適用を行いますと、また事業継続期間がゼロからスタートするのではないかという疑問が生じるはずです。
これに関する取扱いですが、相続税の納税猶予制度への切り替え時には、①代表者要件、②雇用維持要件は課されないものとなっています。ただし、③株式継続所有要件については事業継続期間に限られた要件ではないため、相続の発生後も継続して課せられることには留意してください。

(3)結局、事業承継税制は何が足枷になるのか?

このように①代表者要件、②雇用維持要件は、先代経営者から後継者へ自社株式が贈与されてから5年間だけ課せられる要件です。事業承継税制が、雇用維持を制度趣旨とするものであることから、当然に求められる要件だと言えましょう。一方、③株式継続所有要件は、後継者が次の後継者(先代から数えて3代目社長)へ事業承継する日まで課せられる要件です。つまり、後継者はM&Aで自社株式を第三者に売却することはできないという足枷が課せられます(第三者に対して贈与し、それに経営承継円滑化法を適用することができますが、それではM&Aで会社売却して現金を得ようとする目的は達せられません。)。M&Aできないこと、これが事業承継税制の足枷ということができそうです。