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医療法人のM&A

2017年11月07日  

医療法人のM&Aの特徴

医療法人の売却プロセスは、株式会社と大きく変わるものではありません。以下、医療法人のM&Aの特徴は以下の通りです。

買い手探し

医療法人のM&Aマーケットでは、過去の実績から買い手候補はほぼ決まっており、各地方の有力な医療法人グループが買い手となります。一般の事業会社は株式会社ですから、買い手候補に挙げられるケースはほとんどありません。買い手候補に関する情報は、金融機関が必ず持っており、証券会社よりも銀行との関係が親密ですから、対象法人のメインバンクに相談してみるとよいでしょう。

譲渡スキーム

持分譲渡(持分の出資持分の定めのある社団医療法人の場合)、持分の払戻し、事業譲渡、合併が採用しうる取引スキームとなりますが、売り手の税務上の観点から、ほとんどのM&A案件では、持分譲渡スキームが採用されています。持分譲渡の場合には、その対価は譲渡所得として課税(20%)されるのに対して、それ以外の取引スキームの場合には、配当所得(概ね50%)として課税されるからです。
医療法人は利益の分配が禁止されているため、出資者の投資回収の手段として、MS法人(メディカル・サービス法人と呼ばれる株式会社)と呼ばれる株式会社を併設することが一般的です。したがって、医療法人の持分は、MS法人の株式とセットで譲渡されることになります。
医療法では、医療法人の持分を医療法人が取得することが禁止されています。それゆえ、買い手は、併設するMS法人を通じて出資持分を取得することが一般的です。

価値評価

MS法人と医療法人は経済的に一体化しているため、両者を単一体として価値評価することが合理的です。切り離して評価することも理論的には可能ですが、両者の取引のほとんどがお互いの内部取引となっているため、単体での適正な価値評価は現実的には困難です。
基本的にDCF法が使われますが、多額の固定資産を保有する法人の場合は、修正純資産法を併用することもあります。

法人のガバナンス

医療法人のガバナンスの特徴は、出資者と最高意思決定機関との関係が切り離されていることです。これは、出資者である株主が、同時に最高意思決定機関の構成員でもある株式会社のガバナンスと大きく異なる点です。このことに起因して、経営権の移転の手続きは、株式会社の場合と若干異なることになります。

医療法人のガバナンス体制

社団医療法人における最高意思決定機関は「社員総会」とされ、原則3人以上の社員によって構成されています。

したがって、M&Aにおいて出資持分を譲渡しても、社員が変更されなければ医療法人の経営権は移転されません。それゆえ、持分譲渡と同時に社員総会を開催し、売り手を社員から退任させるとともに、買い手を社員に就任させることを決議しなければなりません。

社員が交代した後で、役員(理事、監事)を買い手側のメンバーに変更することによって、経営権の移転が完了します。