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買い手の探し方

2017年11月07日  

買い手候補情報を集める方法

買い手候補の情報を集めるには、以下の三つの方法があります。

売り手が自ら探し出す方法
M&Aアドバイザーに依頼する方法
金融機関から紹介を受ける方法
一番良い方法は、オーナー経営者が自ら買い手候補をリスト・アップする方法です。自社の属する業界の情報は、オーナー経営者ご自身が一番よく知っているはずです。業界団体の交流関係を通じて、他社の社長たちとの付き合いがあることから、ちょっと冷静に考えてみますと、最適な買い手候補は直感的に思いつくのではないでしょうか。

M&A実務では、たとえ金融機関やM&A仲介会社に依頼して数多くの買い手候補を紹介してもらって取引交渉を進めた場合であっても、最終的にお客様が最初に思いついた買い手候補との取引実行が決定するケースが多く見られます。
買い手候補を探す際、オーナー経営者が、よく知っている同業者(競合他社)には身売りの提案を持ち込みたくないと考えるかもしれません。しかし、同業者こそ最適な買い手候補となるのです。なぜなら、お互いの事業内容や経営戦略を熟知しているため、経営統合した際にシナジー効果(相乗効果)を創造しやすいからです。そして、統合後のコスト削減、市場での競争環境の緩和など、M&A実行後の事業価値を創造することができれば、異業種の買い手候補と比べると、提示できる買収価格が高くなるのです。したがって、買い手候補として最初にリスト・アップすべきなのが同業者ということになります。

買い手候補探しを行うためには、情報力が必要です。しかし、オーナー経営者個人が自ら情報を集めることは困難でしょう。そこで、豊富な情報力を有する専門家の支援を受けることが必要となります。

そこで、会社売却の相談相手として考えるM&A専門家は、税理士とメインバンク(銀行)ということになります。

会社売却を銀行に相談すると、借入金の返済を迫られるのではないかと心配するかもしれません。銀行にとって融資先の会社のオーナーが変わるということは、銀行が融資条件の見直しを考える事態だからです。

しかし、メインバンクといえどもオーナー経営者の意思決定を阻止しうるほどの影響力までは持っていません。逆に、融資先が会社売却を決定した際には、銀行は保有する貸出債権の保全を図るために、最大限の支援を提供しようとするでしょう。それゆえ、借入金のことは心配せず、銀行からの支援を期待しつつ、初期段階から相談を持ち込みましょう。

また、ほとんどの企業オーナーは、個人で会社の借入金の連帯保証人になっているはずです。会社売却後に個人保証をスムーズに解除してもらえるよう、銀行には事前に相談しておく必要があります。

注意したい点は、銀行に会社売却の相談を行う場合、銀行(またはその子会社の証券会社)をM&Aアドバイザーとして雇うように求められるケースです。つまり、会社売却を手伝うから銀行に報酬を払えという提案が必ず来ます。

この点、銀行のM&Aアドバイザリー業務に伴う利益相反という問題には注意しなければなりません。銀行が、単純に買い手候補を紹介するだけならば全く問題はありません。しかし、買い手候補には買収資金の調達ニーズが生じるため、銀行は、売り手の利益を犠牲にしてでも取引を実行させ、買い手に融資を実行したいと考えるのです。

そもそも銀行は買い手側のM&Aアドバイザーとなるべき専門家です。特に、買収資金を銀行借入によって調達して事業拡大を目指す上場企業や大企業は、売り手の中小企業よりも大切なお客様として位置づけられています。銀行に中小企業の会社売却のアドバイスを求めてはなりません。

この点、公認会計士や税理士であれば、利益相反の問題に直面することはなく、純粋に売り手側の利益を最大化するためのアドバイスを提供することが可能でしょう。会社売却について、専門家の公正なアドバイスを求めるのであれば、銀行は買い手候補の情報提供を求めるだけにとどめ、正式なM&Aアドバイザーとしては公認会計士や税理士を雇うべきなのです。

融資実行と会社売却アドバイスの利益相反