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M&Aで非上場株式を時価より安く売却してもよいか?

2017年11月07日  

事業承継対策として先代経営者が経営する複数のグループ会社の組織再編を行うことがあります。親族内承継であれば、持株会社体制のもとでのグループ再編、親族外承継であればM&Aを実行しやすくするためのグループ再編です。その場合、グループ再編に伴う株式譲渡や非適格組織再編を行いますが、その際の非上場株式の評価が問題となります。特に、時価よりも低い取引価額で自社株式を移動させた場合の税務上の取り扱いです。

売主が個人で買主が法人の場合

(1)譲渡した個人に対する課税

個人が非上場株式を法人に譲渡した場合、譲渡価額が時価の2分の1以上であれば課税上の問題は生じませんが、時価の2分の1未満で譲渡した場合には、時価をもって譲渡したものとみなされて課税されます。

(2)譲り受けた法人に対する課税

購入価額が時価に満たない場合は、法人は時価と購入価額との差額について個人から利益を受けたものとして課税されます。

売主も買主も個人の場合

(1)譲渡した個人に対する課税

個人間の売買では、法人に対する譲渡のように「みなし譲渡課税」はなく、その株式の時価の金額にかかわらず、実際の売買価額をもとに譲渡所得の課税が行われます。 ただし、個人間における低額譲渡(時価の2分の1未満の価額による譲渡)により譲渡損失が生じた場合には、その譲渡損失はなかったものとされます。

(2)譲り受けた個人に対する課税

通常、第三者の個人間で売買した場合は、相互に利害相反する関係にあるため、そこで成立した価額が時価であると考えられます。それゆえ、贈与税の課税の問題は生じないように思います。しかし、個人と個人との取引において著しく低い価額によって取引された場合には、買主は時価との差額を売主から贈与を受けたとして「贈与税」が課税されることとなります。

この「著しく低い価額」については、相続税法に明確な定めがないので、相続税評価を基準として評価されるものと考えられます。