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【事業承継税制の日本一分かりやすい解説】適用するならば、後継者へ何株を贈与すべきなのか?(公認会計/士税理士 岸田康雄)

2019年03月25日  

1 贈与すべき株式の数

事業承継税制の特例措置は、「事業承継によって、後継者は発行済株式の3分の2は確保しなさい」と考えています。

2 受贈者が1人の場合

受贈者が1人の場合、贈与すべき株式の最低数は、以下のとおりとなります。

現経営者の所有する株式数のほうが、(発行済株式の2/3−後継者の所有株式数)よりも大きい場合、贈与すべき最低株数は、(発行済株式の2/3−後継者の所有株式数)となります。つまり、少なくとも3分の2に達するまでは一括して贈与することが条件とされています。

現経営者の所有する株式数よりも、(発行済株式の2/3−後継者の所有株式数)のほうが大きい場合、贈与すべき最低株数は、現経営者の所有株式をすべてとなります。つまり、3分の2に満たないことは許してあげるが、その代わり全株を手放しなさいということです。

たとえば、発行済株式総数100株を父親がすべて所有している場合、贈与すべき最低株数は、 (発行済株式の2/3−後継者の所有株式数)となります。したがって、最低でも67株 (=67株−0株)は贈与しなければなりません。もちろん、それを超えることは任意ですから、100株すべて贈与しても納税猶予制度を適用することができます。贈与によって67株を承継した後、先代経営者は33株を所有していますから、その33株については、その後、相続税の納税猶予制度を適用することができます。

これに対して、贈与者が複数いる場合、たとえば、父親が60株、母親が40株を所有する場合は、贈与すべき最低株数は、先代経営者の所有株式数のすべてとなります。したがって、父親の所有する全株式である60株となります。また、その後に行われる母親からの贈与では、(発行済株式の2/3−後継者の所有株式数)となります。
したがって、追随する母親は、最低でも7株(=67株−60株)は贈与しなければなりません。もちろん、それを超えることは任意ですから、母親の所有する40株すべて贈与しても納税猶予制度を適用することができます。

3 受贈者が複数の場合

一方、受贈者が2人または3人の場合、贈与すべき株式の最低数は、贈与後におけるいずれの受贈者の所有する株式数が発行済株式の10分の 1以上となり、かつ、いずれの受贈者の所有する株式数が贈与者の所有する株式数を上回ることになる株数となります。

たとえば、発行済株式総数が100株を父親がすべて所有していて、後継者が 長男と次男の2人である場合、各後継者に10%以上、かつ各後継者が先代経営 者の株数を上回ることが求められることから、贈与すべき最低株数は、長男34 株と次男34株を合計した68株となります。もちろん、それを超えることは任意ですから、100株すべて贈与しても納税猶予制度を適用することができます。