対話を通じて「気づき」を与える事業承継支援の手法とは?

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東京都中小企業診断士協会中央支部の機関誌に掲載

「東京都中小企業診断士協会中央支部の機関誌Fureai」に、事業承継支援に関する弊社代表岸田の記事が掲載されました。
下記にその内容を転載させていただきますので、ぜひご一読ください。

事業承継支援は、経営者との対話を通じて「気づき」を与えること

事業承継支援の正しい取り組みは、お客様との対話を通じて、事業承継の必要性に気づいていただき、解決すべき課題を正しく見つけることです。課題を正しく定義することができれば、事業承継問題の半分以上は解決できたようなものです。

事業承継問題は、課題を発見するフェーズと、課題を解決するフェーズに分けて考えなければいけません。現状、課題解決フェーズには、税理士や弁護士など多くの支援者が手厚いサービスを提供していますが、課題発見フェーズには、支援者がほとんど存在していません。

課題発見フェーズでは、現経営者は事業承継の必要性を認識していないか、多少は認識しているとしても何をすればよいかわからず悩んでいる状況にあります。ここで求められる支援は、事業承継の必要性を認識させること、すなわち「気づき」を与えることです。

具体的な支援は、経営者との『対話』です。ローカル・ベンチマークの作成などを通じて対話を行います。『対話』の目的は二つあります。一つは、現在の事業について話すことによって事業性評価を行い、事業そのものの存続・成長のために何をすべきか考えること、もう一つは、現経営者の頭の中にある知的資産を後継者に伝達することです。

この結果として導くゴールは、現経営者が「引退を決意すること」であり、後継者が「引継ぐ決意すること」です。このような心の状態に到達させるために、支援を行う必要があるわけです。実務手続きの問題ではなく、「心(マインド)」の問題なのです。

これに対して、課題解決フェーズにおいて求められる支援は、実行手続き(税務・法務・財務)を教えること、それを代行する専門家(税理士や弁護士など)を選任することです。単なる事務手続きの問題ですから、ゴールに到達させることは難しくありません。

私たち事業承継支援研究会は、事業承継に関する理論と実務の研究、書籍出版による成果発表、中小企業庁や東京都の政策への参画を目的としています。ケース・スタディ(親族内承継・親族外承継の支援事例)が題材として提供され、参加者がチームを作って支援策を議論します。参加者同士のディスカッションは、専門的知識を習得するために効果的な手法となります。

また、事業承継支援の実務の機会(実務従事、専門家派遣)を提供しますので、数多くの実務経験を積むことができます。

中小企業診断士の先生方が、事業承継支援研究会にご参加いただくことで、事業承継支援の「専門家」となり、東京都のおける数多くの事業承継問題を解決されることを期待します。

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この記事を書いた人

公認会計士/税理士/宅地建物取引士/中小企業診断士/行政書士/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
平成28年経済産業省「事業承継ガイドライン委員会」委員、令和2年度日本公認会計士協会中小企業施策研究調査会「事業承継支援専門部会」委員、東京都中小企業診断士協会「事業承継支援研究会」代表幹事。
一橋大学大学院修了。監査法人にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ銀行ウェルスマネジメント・コンサルティング部、みずほ証券投資銀行部門、メリルリンチ日本証券プリンシパル・インベストメント部門に在籍し、中小企業の事業承継から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業承継のアドバイスを行った。現在は税理士として相続税申告を行っている。

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