事業承継支援研究会

第21回 事例研究問題 (6月3日事業承継支援研究会)

2019年05月27日  

6月3日(月)第21回事業承継支援研究会の事例研究問題を掲載いたします。
下記の画像をリンクしていただくことでPDFが開きますので、事前にご確認ください。

第21回事業承継支援研究会 事例研究問題

当日の進め方

本日の事例研究の進め方

① 個人ワーク
② グループでのディスカッション
③ ロール・プレイング

コーチングの基本的な技術

① 問いかけ
・オープン・クエスチョン
・ビジョナリー・クエスチョン
・コミットメント・クエスチョン
② 承認、力づけ
③ 顕在化
・ポジティブ面:希望、思い、チャンス
・ネガティブ面:不安、不満、障害

事例

A社は、K社長(70歳)が32歳で創業し、年商は10億円、社員35人、現在38期目の製造業(部品加工)です。

<事業性>

A社には自社ブランドの製品はありませんが、特殊な部品を製造しているため、競合は国内に数社しかなく、海外にも多くありません。そのため、今後の売上が大きく伸びることはないものの、営業面に大きな不安はありません。
営業利益、経常利益は、ともに黒字です。設備投資や運転資金などに充てる通常範囲の金融機関からの借入がありますが、問題なく返済しており、キャッシュ・フローは黒字です。不良資産になるような不動産などもありません。

<支配権>

A社株式を、K社長が70%、奥様(67歳)が30%保有しています。奥様は10年ほど前まで経理担当として従事していたものの、現在は従事していません。

<マネジメント>

内部の組織ですが、製造部(製造1課と2課)、営業部、総務・経理部があります。製造部長は60歳、営業部長は56歳、総務・経理部長は52歳です。製造1課は、試作品・特注品を主に製造し、2課は規格品を製造しています。

<後継者>

K社長には、長男(45歳)と次男(42歳)がいます。長男は、自分で立ち上げたIT企業を経営しており、順調に業績を伸ばしているため、A社を継ぐつもりはありません。この点、K社長は、長男の意向を明確に確認しています。
そこで、K社長は、A社に入って製造2課長をしている次男を後継者にしたいと考えています。ただし、このことは誰にも話していません。
次男は仕事熱心で、部下からも慕われており、社長の片腕である製造部長からも信頼されています。妻と2人の子供がおり、社長とは別居しています。

K社長は、半年ほど前、法事の席で、次男に「会社を継ぐつもりはないか」と軽く聞きました。その時、次男は、「そういう話があるかもなぁ、とは思ってはいたが、まだ具体的には考えたことはない。」と返答し、会話はそこで終わりました。
社長、長男および次男の人間関係は良好です。多く会話することはありませんが、遺恨となる出来事も過去に生じていません。
奥様は、子供の頃から次男をかわいがる一方で、難しいことを長男に相談する傾向にあるようです。長男と次男は、そのことについて気にしている様子はありません。

K社長は、そろそろ後継者を決めようと思い、「次男に事業を承継する気があるのかどうか確認してほしい。」と事業承継支援の専門家であるあなたに依頼してきました。

【設問①】

あなたは次男と二人きりで会うことになりました。

あなたと次男はまだ会ったことがありません。K社長から次男に対し、「A社の今後のことで専門家に相談を行った。その人がお前の意見も聞いておきたいそうだ。」と伝えてもらいました。

あなたは、コーチングの技術を使って、次男が継ぐ気があるのかどうかを確認します。次男とどのように会話を進めたらよいでしょうか。会話の枠組み、使うべきコーチング・フレーズ(問いかけ)を考えてください。

【設問②】

次男は、後継者になる決意をしました。そこで、どのように後継者教育を行うべきか、社長、次男および専門家であるあなたの3人で検討する会議を行うことにしました。

後継者教育の方法については、K社長と次男が納得したうえで、本当に効果が出るものを考える必要があります。あなたは、コーチングの技術を使って、どのように会議を進めるべきでしょうか。会話の枠組み、使ってみるコーチングフレーズ(問いかけ)などを考えてください。