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中小企業診断士は独立開業できるか?

2020年12月06日  

中小企業診断士

中小企業診断士の業務は弁護士や行政書士などと異なり、資格がなくても実力さえあれば誰でも経営コンサルタンティングができる、足の裏の米粒のような資格だなど言われています。この記事において、中小企業診断士は独立開業できるか、年収と平均報酬、独立開業のため準備すべきこと、独立開業のための費用についてご紹介していきたいと思います。

中小企業診断士は独立開業できるか

中小企業診断士はわが国唯一の経営コンサルタントに関する国家資格であって活躍のフィールドが広がっています。企業内診断士と比較して、以下のように公的業務・民間業務・企業研究など既定のフレームにとらわれず、幅広く自在に働き方を設定できます。

中小企業診断士の公的業務

国・地方公共団体などの委託業務があります。窓口相談業務・専門家派遣・セミナー講師などがあり、確実に仕事が入り安定的な収入源として魅力的です。

中小企業診断士の民間業務

民間の中小企業へ経営コンサルティングを行う業務があります。たとえば、融資支援やマーケティングのコンサルティング、事業計画策定支援などがあります。これらは、問題解決に別の専門家派の力も必要とする場合には橋渡しの役割を果たし、誰に相談すればよいのかわからない経営者や起業家にとって、最初に相談を持ち掛ける「総合窓口」のような役割を担っています。                

また、企業研修があります。専門分野に関わる研修はもちろんロジカルシンキングやマネジメントなどのビジネススキルに関わる研修も行っています。また企業内の研修のみならず、大学や専門学校などで教鞭を取る仕事に就く人もおり、独立開業の中小企業診断士として研鑽を積んでいけば、後進に伝えるべき知恵を得ることもあります。

独立開業した中小企業診断士の年収と平均報酬

独立開業した中小企業診断士の平均年収は、おおむね3分の1の年収は500万円~1000万円の間です。

年収1000万円以上が25%以上である一方、約25%の収が300万以下に甘んじています。一方で、100人に2人は年収3000万円以上の超高年収を得ているという状況です。このように、中小企業診断士の年収格差が激しいと言えます。とりわけ開業間もない時期は、低い年収しか得られないことを覚悟して臨む必要があります。

中小企業診断士が実施するコンサルティングの内訳とその報酬額は以下のようになります。

経営指導97,000円/日~141,000円/日
講演・教育訓練130,000円/日~191,000円/日
診断業務108,000円/日~207,000円/日
原稿執筆5000円/枚(400字) ~6000円/枚(400字)
調査・研究9,000円/日~87,000円/日

多くの顧客を相手にして自身のブランド力が高まれば、それに伴って報酬額も上がることが期待できます。

企業内の中小企業診断士が独立開業するために準備すべきこと

中小企業診断士として独立開業した直後にやるべきことは顧客を見つける作業です。そしてお客様への提案を行ううちに「この業界でわからないことはない」という誰にも負けない分野を確できれば中小企業診断士としての成功に近づきます。

いつまでに必要な初期費用と人脈を構築するという明確な目標をタイムテーブルで掲げことが前提です。

ただし、「5年ぐらいは準備時間が必要かな」などの不明確なビジョンでは非常に危険です。また、お金がなくても起業することができる時代を活かし、「今すぐ直ちに独立開業する」ことも選択肢の一つです。顧客探しやスキルを錬磨することに本格的に取り組むことができる状況に自分自身を追い込んでいくことも、独立開業に成功した中小企業診断士の方々から語り継がれる成功要因となっています。

実際に独立開業しましたら、事業を開始した日から1か月以内に、開業届を税務署に提出します。確定申告のための青色申告承認申請書も一緒に提出しましょう。銀行口座をまだ持っていない場合は、口座も開設しておくとよいでしょう。ビジネス用の銀行口座があれば業務に関わる資金繰りの把握が容易になります。                   

中小企業診断士として独立開業するまでにかかる費用

中小企業診断士試験に合格し、経済産業大臣への登録して正式に中小企業診断士となります。登録自体費用はかかりませんが、中小企業診断士に登録するには3つルートがあります。              

  • 1次試験合格→2次試験合格→実務補習の受講(15日間以上)           
  • 1次試験合格→2次試験合格→診断実務従事(15日間以上)        
  • 1次試験合格→中小企業診断士養成課程

中小企業診断士試験合格後、直ちに診断実務に従事できる人はごくわずか。診断実務ができる中小企業に縁がない場合は実務補習を受講するか又は養成課程に入るかのいずれかになります。いずれも中小企業診断協会が実施しており、受講するのに必ずしも入会しなくてもよく、入会費は3~7万円前後。年会費は5万円程度。入会するメリットは、資格維持のための更新が容易になることです。

中小企業診断士養成課程を受講すると、2次試験・診断実務が免除されそのメリットは大きいのですが、養成課程の受講料は100万円以上です。

また、中小企業診断士の資格を維持するには、実務従事(5年間で30ポイント〔=30日〕以上)理論更新研修(5年間で5回以上)が必要です。

実務従事とは、中小企業のコンサルティング業務を行うことです。これは企業内の中小企業診断士ではできませんが、中小企業診断協会に入会すれば、中小企業のコンサルティング業務の機会の提供を受けることができます。