事業承継支援研究会

第24回 事例研究問題 (9月2日事業承継支援研究会)

2019年08月22日  

9月2日(月)第24回事業承継支援研究会の事例研究問題を掲載いたします。
下記の画像をクリックしていただくことでPDFが開きますので、事前にご確認ください。

第24回事業承継支援研究会 事例研究問題

事例1 後継者教育の実践

事例

株式会社A社、金属加工業、売上4億円、経常利益1800万円、従業員22名、資本金3000万、純資産1億3000万、長期借入金1億7000万

A社は現社長の実(みのる)氏が創業し今年で42年です。都内近郊で堅実な経営をしており、顧客の要望に柔軟に対応し、仕上がりも丁寧と取引先から信頼を得て、大手や中堅企業から継続して受注があります。
実社長は現在71歳で、事業承継を考えるようになりました。親しい経営者仲間でも、代替わりしており、社長を退いて、身軽になった元社長たちを羨ましく思うようになりました。実社長には長男孝明(たかあき)氏(37歳)がおり、次期社長と考えています。孝明氏は大学卒業後、食品に強い中堅商社に勤め営業部に所属していました。食品の輸入と販売を担当し、国内だけでなく、フィリピンにも3年駐在し、地元での合弁工場で食品管理や輸入手続きなどを担当しました。31歳の時に、サラリーマンやめてA社に入社しました。
実社長には、長女もおりますが、公務員の夫と結婚し、A社の経営には興味がありません。

孝明氏は入社から、前職の経験を生かそうと工場担当常務となりました。最初は工場長(実社長の弟、68歳)に指導されながら、現場の管理のサポートをしています。孝明常務も「工場管理はできる」と思っていましたが、食品と金属加工では、全く異なっており、納期管理や現場の段取りなど、なかなか難しい状況です。工場長は孝興常務を一人前にしようと、厳しく指導しますが、逆効果で現在では関係性はよくありません。実社長も工場長も「見て覚える」教え方で、わからなければ質問しろと孝明常務に言いますが、質問すると「そんなことも知らないのか」と言われるのでは、聞くことを辞めてしまいました。
しかし、将来的に経営者になったときを考えると、このままの状態ではいいとは思っていません。社長となったら、工場の製造現場以外の仕事もありますが、漠然と考えるだけで、具体的に社長として何をすべきかは知りません。

実社長は孝明常務に早く一人前になってほしいと思っていますが、なかなか成長しないことに焦りを感じています。どうやったら育つのかを考えていますが、妙案は浮かびません

そんなときに、あなたは専門家として相談(無料)を受けました。

問題

実社長に、常務の育成について、「何を」「どのようにするか」をグループでディスカッションください。

事例2 マネジメント能力とリーダーシップの習得

事例

和風旅館B社、東北地方、売上3億円、経常1100万円、従業員32名(パート含む)、資本金4000万円、純資産9000万円、長期借入金2億8000万円

B社は老舗旅館として、その地域では有名ですが、業績や人気ではその地域で3番手です。1番人気は全国的に有名な旅館であり、2番は最近大手の資本参加で伸びています。そのほかの3番手は中小企業が競っています。
B社は昔ながらの和風建築に和室中心、料理も地元の食材、サービスも伝統的であり、「とても落ち着く」と中高年の夫婦や女性客に人気です。

経営者の辰夫(たつお)社長は69歳で2代目社長です。先代が開業した旅館の「お客様を大切に」という教えを守り、堅実に経営してきました。2000年代から団体客が減り、厳しい経営状況が続きましたが、ここ数年はインバウンドの好影響で業績が改善しています。

辰夫社長には長男と次男がおり、長男は大手企業で東京に勤めていて、旅館を継ぐ気持ちはありません。次男健次(けんじ 40歳)は東京の大手IT企業で、営業マンとして務めました。B社に32歳で入社し、経理や総務をしたのち、35歳で副社長へ。副社長になると、自社のHPをリニューアルし、全世界から予約可能にしたことで、外国人客を増やしました。さらに、集客強化のために、HPの改善やネット広告など、ほぼ一人で担っています。

健次副社長は宿泊客が増えたのは自分の功績だと自信を深め、最近は従業員への応対が厳しくなりました。料理について、その善し悪しや見栄えなどを料理人に直接意見しますが、自分の好みを主張する事が多く、料理人はその意見を聞きません。接客に関しては、辰夫社長が責任者なので、表面上は意見を言いませんが、社長不在時に接客スタッフへ「できてないこと」を厳しく指摘することで、スタッフからは煙たがられています。

その反面、一部の社員は副社長に信頼を寄せているで、辰夫社長も副社長のやり方をあえて否定はしていません。辰夫社長から見ても、副社長の言うことは正論なので、良い時もありまが、厳しい言葉で責めることで無用な反発を産んでいます。副社長のリーダーシップを低下させていると将来へ不安を感じています。辰夫社長も2代目社長なのでベテラン社員との関係性は難しいことは知っているだけに、それを上手くできないかと考え、それことを副社長に伝えたところ、「正しいことを言って、何が悪い」と取り付く島もありません。

さて、そんなときに、専門家として相談(無料)を受けました。

問題

辰夫社長に、副社長のリーダーシップについて、何を教え、どのようにすれば、社員の多くと信頼関係を気づけるか、グループでディスカッションください。

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