事業承継支援研究会

第29回 事例研究問題 (2月3日事業承継支援研究会)

2020年01月21日  

1月6日(月)第28回事業承継支援研究会の事例研究問題を掲載いたします。
下記の画像をクリックしていただくことでPDFが開きますので、事前にご確認ください。

29回事業承継支援研究会 事例研究問題

事例研究(従業員承継と第三者承継)

甲社長(70歳)は、40年前に設立したA社(印刷業、従業員数10人、売上高5億円、当期純利益1千万円、純資産1億円、借入金5千万円)の創業者で、これまで代表取締役社長として頑張ってきました。
株主構成は以下の通りです。


顧問税理士による株式の相続税評価@10,000円×10,000株=1億円

甲氏には子供がいませんので、有望な若手である乙氏(取締役営業部長、40歳、親族外の従業員)が後継者として最適ではないかと考えました。
しかし、乙氏は、生え抜きサラリーマンであり、顧問税理士が評価した1億円という評価の株式100%を買い取る資金がありません。
甲氏は「私と妻の持株を合わせると30%になる。これであれば3,000万円で乙氏が買い取ることができるだろう。」と考えています。その一方で、会社の借入金5,000万円について個人保証しており、この保証債務の承継についても気になるところです。
ある日、業界最大手のX社(上場)から「グループ傘下に入らないか。」との提案がありました。取締役丙氏によれば、「X社が導入した最新の印刷機械を使えば、当社の収益性は大幅にアップだろう。」とのことです。しかし、監査役丁氏は、「X社の傘下に入れば、当社の工場は操業停止となり、従業員が解雇されてしまうおそれがある。」と反対しています。
ある日、メインバンクである地方銀行が、事業承継支援を専門とするあなたを連れて面談を行いました。
あなたは甲社長との打ち合わせにおいて、今後の事業承継に関する提案を行います。

【問1】

次期社長を乙氏(取締役営業部長)とする場合、後継者の観点、株式承継の観点から、検討すべき課題を列挙してください。

【問2】

あなたが後継者候補であった従業員乙氏にインタビューしたところ、経営者の資質と意欲に欠き、次期社長とすべきではないと判断しました。甲社長に対して、今後の進め方をどのようにアドバイスしますか?

【問3】

第三者X社へA社を売却することを決めた場合、可能なかぎり高い売却価格を実現するためには、どのような戦術を使うべきでしょうか、甲社長に提案してください。