第7回 事例研究問題
4月2日(月)第7回事業承継支援研究会にて用いる予定の問題を事前掲載いたします。
下記の画像をリンクしていただくことでPDFが開きますので、ご利用ください。
7回事業承継支援研究会 事例研究問題
事例研究13(後継者の決意)
事例
中小企業診断士であるあなたは、東京商工会議所の「事業承継支援者向けセミナー」を受講しました。そのセミナーでは、現社長は、家族や従業員に迷惑をかけないようにするため、自ら引退の時期を明確にし、事前に後継者を指名するなど、事業承継には早期に着手することが必要だと学びました。また、支援者は、退職金の支給など、現社長の引退プロセスを適切にアドバイスすることが、事業承継の推進につながると学びました。
しかし、あなたは、「なぜ去りゆく人を応援する必要があるのだろう・・・?」と、理解に苦しみました。
その翌週、事業承継の問題を抱えるお客様であるA社を訪問し、甲社長と面談を行いました。
あなた:「事業承継は進んでいますか?」
甲社長:「うちの息子は、子供は幼い頃から自分の後継者になることを前提に手厚く英才教育してきたのですよ。彼は慶應義塾大学を卒業し、うちの会社に就職したのですが、10年働かせたので、そろそろ社長交代したいと考えています。」
あなた:「そうですか、それならば問題ないですね。事業承継計画書は作りましたか?数値計画も必要なので、甲社長が計画を作成されるならば、私がお手伝いしますよ。」
甲社長:「それは助かります。事業の存続を図るためにも、細かな経営戦略まで考えたいですね。」
この一方で、後継者である息子の太郎氏と面談したところ、口数も少なくて大人しい性格であり、父親である甲社長に対して従順に働いている様子でした。しかし、自ら進んで社長になろうとする姿勢が見られず、あなたはその点が気掛かりでした。
あなた:「太郎さん、あなたは次期社長なんですよ、経営者としての責任も重いですから、頑張ってくださいね。」
太郎さん:「実は、社長になることについて、気が進まないのです。私は、親に言われた通りに生きてきましたが、本当は建築家になりたいという夢がありました。そんなことは今さら言っても仕方ないので諦めますが、もはや親の家業を継ぐしか私の生きる道はないのでしょうね。」
あなた:「そんな受身で消極的な姿勢では社長は務まりませんよ、しっかりしてくださいね。」
中小企業診断士であるあなたは、息子の消極的な様子を見て少し心配になりました。しかし、甲社長が意欲的に事業承継を進めており、コンサルティング業務を契約してもらったのも甲社長であることから、専門家として、甲社長の支援に徹することとしました。
問題
【問1】
本事例では、現社長に対して事業承継支援を行っていますが、これは正しいやり方でしょうか。
【問2】
事業承継の主役が後継者であると考えた場合、どのように事業承継を進めていくべきでしょうか。
ヒント
事例研究14(事業承継支援の3つの側面)
事例
中小企業診断士であるあなたは、東京商工会議所から専門家として派遣され、事業承継の問題を抱えるB社を訪問し、乙社長と面談を行いました。
乙社長にヒアリングした結果、会社が赤字で困っている、後継者にしたい子供が遊んでばかりいて困っている、株式をどのように継がせてよいかわからない、顧問税理士に相談しても何もアドバイスしてくれないなど、多くの問題(悩みや不満など)を2時間にわたり聞かされました。
事業承継支援の経験に乏しいあなたは、これらの問題をどのように整理しすればよいかわからず、途方に暮れてしまいました。そこで、経験豊富な先輩に相談したところ、「お客様が抱える課題を整理するためには、事業承継の3つの側面から整理すればいいよ」との助言を受けました。
問題
【問1】
支援内容を3つの側面に整理するとすれば、どのように整理できるでしょうか。あなたの考えを述べてください。
【問2】
3つの側面を支援者一人でカバーすることは容易ではありません。他士業連携を行うとすれば、どのような役割分担が想定されるでしょうか。