事業承継支援研究会

第14回 事例研究問題

2018年11月06日  

11月5日(月)第14回事業承継支援研究会にて用いられた事例研究問題を掲載いたします。
下記の画像をリンクしていただくことでPDFが開きますので、ご利用ください。

第13回事業承継支援研究会 事例研究問題

事例問題

甲社長(70歳)は、地方都市にあるA社(食品スーパー3店舗、従業員数20人、売上高20億円、当期純損失▲1千万円、純資産1億円)の創業者であり、株式10,000株(発行済議決権株式の100%)を所有し、これまで代表取締役社長として頑張ってきました。妻の丙氏は経理を担当して、夫の甲社長を支えています。
甲社長は、事業承継を行おうとしており、後継者候補と位置づけられている長男の乙氏(40歳)が5年前に、大手商社を退職してA社に入社しました。現在は、購買担当責任者として働いています。

ある日、後継者候補の乙氏は、多忙な日々の中、ふと立ち止まって事業承継について考えてみました。

乙氏:「そう言えば、うちの会社って儲かっているのかな?」

A社の食品スーパー事業を巡る経営環境は年々厳しくなってきており、地域の人口減少、大手ショッピング・モールの台頭、インターネット宅配事業者との競合などにより、A社の顧客は年々減少しています。また、地産地消を標榜して地元の朝一番に採れた新鮮な野菜を販売する八百屋が登場し、消費者から大人気になっています。しかし、乙氏は決算書を詳しく見たことがなく、赤字である現状について何ら疑問視していませんでした。
一方、広告宣伝は、新聞折り込みチラシのみ実施しており、簡単な会社案内しか掲載していないWeb上のホームページでは、何も行っていませんでした。そして、丙氏が担当する経理業務も、昔ながらの手作業で会計帳簿を入力しており、繁忙期は夜中まで入力作業を行うこともありました。

顧問税理士は創業以来の長いお付き合いである70歳のベテラン大先生であり、クラウド会計システムの導入などの提案は行ってくれません。
後継者候補の乙氏は、業務効率化やマーケティングにIT技術を活用しなければいけないと薄々感づいていましたが、自分自身が営業畑出身でITに詳しく、日常業務に忙殺されていたため、経営改善は自分が社長に就任した後で構わないだろうと楽観的に考えていました。

後日、乙氏は事業承継の専門家(中小企業診断士)であるあなたと面談し、相談をしました。

乙氏:「先生、甲社長はそろそろ引退しますので、私が社長に就任しようと思います。行政のセミナーを受講しましたところ、『事業承継は、自社株式の承継に伴う税務や、支配権確保のための法務の問題が重要だと言われましたが、当社は問題ないでしょうか。」

あなた:「これらの点について全く問題はありません。それよりも、乙さんは後継者としての準備はできていますか?当社の経営を担うことになりますから、当然に当社の事業のことを理解していますよね?」

乙氏:「それが決算書を見てもよくわからないですし、親父(甲社長)と親子で自社のことを話すのも面倒なので、正直なところ、あまり詳しく知らないんですよ。どうせ私しか後継者がいないので、いいでしょう。」

あなた:「何を言ってるんですか!?事業の実態を知らないでそれを引き継ごうなんて、怖くないですか?簿外債務が隠れているかもしれませんし、近い将来、倒産するかもしれませんよ。すぐに事業性評価に取り組みましょう。」

乙氏:「事業性評価?それは何ですか?」

【問1】

金融機関が取り組んでいる事業性評価が、後継者にとっても重要であると言われます。その理由を説明してください。

【問2】

事業性評価を行う際に、経営者に対する対話が重要だと言われます。後継者が先代経営者に対してヒアリングしようとするとき、どのような質問項目が考えられますか?