事業承継支援研究会

第19回 事例研究問題

2019年03月25日  

4月1日(月)第19回事業承継支援研究会の事例研究問題を掲載いたします。
下記の画像をリンクしていただくことでPDFが開きますので、事前にご確認ください。

第19回事業承継支援研究会 事例研究問題

事例研究(親族内承継と相続)(1)遺留分の問題

私は、株式会社で事業を営む経営者です。私は、自社の株式を、贈与で、後継者である長男に承継させたいと考えています。長男のほか、私には、妻と、長男以外の2名の子(合計3人兄弟)がいます。
私には、この株式以外に、財産はほとんどありません。事業用資産はすべて会社所有となっています。妻は理解してくれると思いますが、長男以外の2名の子には我慢してもらうことになりそうです。何か法律的な問題はあるでしょうか?

【問】

本設例のように資産の大部分を一部の相続人にのみ贈与・遺贈する場合、遺留分侵害という問題が発生します。

①遺留分とは何でしょうか?どのようにして算出できるでしょうか?
②この問題に関して、どのような対応を行えばよいでしょうか?
(※民法の相続法改正による変更点も併せてご検討頂いて結構です。)

事例研究(親族内承継と相続)(2)事業再生と相続

株式会社の先代経営者である父が、突然、亡くなりました。父には、2人の兄弟と、妻と、長男である私も含めて3名の子がいます。父は株式の67%を保有しており、後継者である私は33%を保有しています。父には目ぼしい資産がなく、事業用資産はすべて会社所有となっています。なお、父は遺言を残してはいないようです。

当社は、数年前に、業績が悪化し、一時的に資金繰りが危機的な状況となったことがあり、このときに、金融機関より多額の融資を受けました。そして、このときに父は、借入金の全額について、連帯保証人となっていました。このような事業再生局面にある状態で、父が急に亡くなってしまったのです。

後継者である私は、どのようにして、父の保有していた株式を承継することができるのでしょうか。また、後継者である私は、当然に、父の負っていた金融機関への連帯保証債務を承継して、いざという場合には、私の固有資産から弁済を果たす必要があるのでしょうか?

【問1】

先代経営者が亡くなった後、その相続について、後継者その他の相続人らは、どのような選択肢を採り得るでしょうか?
民法上、3つの手続があります。

【問2】

仮に、先代経営者が亡くなった直後に次の各事実があった場合、それぞれの場合において、後継者その他の相続人らは、相続を放棄できるでしょうか?
できない場合、それはなぜでしょうか?

①先代経営者の預金500万円を引き出して、会社の資金繰りに充てた。
②スポンサーに全事業を譲渡するための株主総会決議(特別決議)を行った。
(※いずれも、全相続人の同意の上で行ったという前提です。)