事業承継支援研究会

第25回 事例研究問題 (10月7日事業承継支援研究会)

2019年10月02日  

10月7日(月)第25回事業承継支援研究会の事例研究問題を掲載いたします。
下記の画像をクリックしていただくことでPDFが開きますので、事前にご確認ください。

24回事業承継支援研究会 事例研究問題

事例研究25(第三者承継における投資ファンドの役割)

親族や従業員に後継者がおらず第三者承継を検討していく中で、アドバイザーから「投資ファンドも候補に入れないか?」と提案がありましたが、そもそも投資ファンドがどういったものか分からないので判断ができません。むしろ、ハゲタカのような悪いイメージもあります。投資ファンドについて説明してもらえますか?

前提:投資ファンドにも様々なものがありますが、中小企業の事業承継における投資ファンドに関してお答え下さい。

【問1】

投資ファンド、オーナー経営者、対象会社はそれぞれどのようなメリットがあるでしょうか?

【問2】

事業会社ではなく投資ファンドに事業承継をするメリットとデメリットを3つずつ挙げて下さい。

ヒント

事業承継における投資ファンドの役割の問題です。
前提となる知識は覚える必要がありますが、そこまで難しいものではありません。登場人物が増えるので、誰がどのような目的で行動をするのかという視点で考えてみましょう。

事例研究25(管理会計により資金繰り改善を行った事例)

保険代理店を営むA社は前社長(甲:78歳)が約30年前に個人事業として損害保険代理店を始め、その後株式会社を設立して法人化しました。当期で法人化後15年目を迎えます。A社は保険代理店であることから、設備は不要で固定資産は保有していません。甲が保有するマンション(自宅とは別)を事務所として使用しており、家賃として年間約200万円を甲へ支払っています。固定客が相応にいるため、売上は14百万円程で安定していますが、パート従業員の人件費や接待交際費も多く、毎年1百万円程度の赤字が発生しています。また、この赤字を補填するために毎年1百万円を甲から借り入れており、返済はできていません。そのため、借入金が15百万円(すべて甲からの借入)あります。税務上の繰越損失も約15百万円となっています。

前社長(甲)は自身の高齢化のため、5年前から長男(乙)を跡継ぎとして会社に入れて顧客の引き継ぎを進めると共に経理・総務等の管理業務を長男に任せてきました。しかし、世代のギャップから経営方針に齟齬が発生し、親子関係は大きくこじれてしまいました。長男(乙)はこのままA社の跡を継ぐことに対する不安が大きくなり、跡を継ぐことを拒否して大手企業へ転職してしまいました。

そこで、体調が優れなくなってきた前社長の甲は、次男(丙)を跡継ぎとして招き、1年間かけて顧客の引き継ぎを行ってきました。今年1月、甲は自身が100%保有していたA社株式を丙に贈与すると同時に代表取締役を丙に譲り名実ともに次男(丙)がA社の社長となりました。株式の贈与にあたり、株式の相続税評価額を算定してみたところ、ほぼ0円であり、贈与税の心配はありません。なお、株式以外の財産は自宅(評価額:15百万円)、有価証券(評価額:3百万円)、A社事務所としているマンション(評価額:7百万円)、現預金7百万円となっています。

次男(丙)は損害保険会社で営業の経験があり、業界動向に精通していることに加え顧客対応も上手く新規客の開拓も徐々に進みつつあります。

一方、次男(丙)は経理の経験が一切無く、決算書の見方もよくわかりません。A社はこれまで経理をすべて前社長(甲)が行っていましたが、今後は次男(丙)が担うことになります。クラウド会計システムを導入し、税理士のフォローを受けることで経理事務についてはなんとかなりそうですが、赤字の解消について次男(丙)は具体的な目標数値が全く見えていません。そこで、コンサルタントであるあなたに相談がもちかけられました。

なお、甲の家族関係は、妻、長男(乙)、次男(丙)、長女(結婚している)の5人家族で、長男(甲)と長女はすでに家を出ています。次男(丙)は甲と妻が暮らす自宅に同居しています。

【問1】

今年1月に前社長(甲)から次男(丙)に自社株式を贈与した際に贈与税がかからなかったことで甲・丙共に株式の譲渡や相続については安心しています。事業承継コンサルタントであるあなたは、将来の相続発生時に懸念があることに気がつきました。さて、あなたは甲・丙両氏に①どの様な危険性があり、②どの様な対策を講ずるべき、と助言しますか?

【問2】

前社長(甲)は、引き続き会長として役員報酬を取ることにしました。但し、昨年より役員報酬を100万円下げることにし、次男(丙)は社長になったのだから昨年よりも200万円報酬を上げることにしました。他の経費が昨年とほぼ同等だとした場合、赤字を出さない様にするために、新社長の丙にどの様な経営管理を提案しますか?

ヒント(問1)

式贈与の際の贈与税、将来の相続税は発生しません。しかし、長男(乙)と次男(丙)の関係も良好とは言えない状況の中、税金だけではなく会社の継続に危険性が残っていないでしょうか?

ヒント(問2)

数字の見方に不安がある新社長に数値管理ができるようにするためには何をどの様に示せばよいでしょうか?