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税理士に事業承継の悩みを相談すべきだろうか?

2020年11月25日  

税理士

事業承継といえば、相続や贈与が関係してきます。そのようなときに相談するのが税理士です。しかし、自裁に税理士がどのように事業承継の相談にのってくれるのか、どのような税理士に依頼すればいいのかわかりません。そこで今回は、どのような税理士に依頼し費用はどのくらいかかるのかということを中心に解説します。

事業承継を税理士に相談すべきか

経営者は「事業承継」と聞くと「後継者へ事業を承継すること」と認識しているのではないでしょうか。もちろんこれは正解です。ただし実際に事業承継するには「税務上の問題」「会社法上の問題」と大きく分けて2つのクリアしなければいけないポイントがあります。この両方の知識を持っているのは税理士です。

株式会社の場合、事業承継すれば株式の移動が必要です。移動といってもこれは所有者から見れば贈与や譲渡に該当します。つまり「税金」が関連するのです。税金といえば税理士が専門家ですからこれだけでも税理士に相談する価値があります。

また、最近の税理士は関与先の決算書を見て最も適したタイミングで事業承継の提案ができます。「最も適したタイミング=最も税額が低く済む」という状態ですから相談しない方が損です。

事業承継に係る税理士の役割と業務内容

日本の多くの企業は中小企業です。つまり同族会社であり株式は非上場です。まずこの非上場株式の評価を適正に行う必要があります。また、同族会社ですから、将来発生する相続や贈与の問題、遺産分割の知識は最低限でも必要です。

そのうえで、その法人の経営状態によってはM&Aを実施することが適していることもあります。M&Aとなると株式交換や株式移転など組織再編の知識も必要です。特に非上場株式は上場株式と違って取引相場がオープンになっていません。

そのため国税庁が発表している「類似業種比準価額方式」など非上場株式の評価方法を使って事業承継しようとしている会社の評価額を計算しなければなりません。

資産を多く所有している企業であれば、その分計算も複雑になるので専門知識や経験豊富な税理士に相談する必要があります。

事業承継という1つの業務にこれだけの関連した業務内容が発生し、さらにどのような課税関係があるのかを知っておかなければなりません。この場合税理士が、それぞれの取引に発生する税額をシミュレーションし、経営者へ適切に助言します。これが税理士の役割と業務内容です。

事業承継に係る税理士の報酬はいくらか?

事業承継に係る税理士の報酬は、会社の価値や煩雑さから試算します。一般的に、どこにでも発生する株式評価は最低でも15万円程度です。ここからは適用する税制により発生する費用が変わります。

最近注目されている「事業承継税制」を適用し納税猶予を受けた場合、適用を受けるための添付書類を特別に作成し認定支援機関の押印が必要なため単純なもので30万円から、税制適用でメリットが大きい場合は100万円程度にまで費用が掛かることもあります。

また事業承継税制を適用した場合は、継続的に報告書と申告書を都道府県と税務署へ提出しなければいけないため、両方で最低15万円から50万円程度にまで費用がかかります。

税理士の報酬は、どの程度節税になるかという点と事業承継の内容の難易度により高額になる特徴があります。

税理士に事業承継を相談するときの注意

税理士にも、法人の節税を得意としている人や相続を得意としている人など特徴があります。もちろんどの税理士に依頼してもそれなりの経験と知識はあります。ただし事業承継は経験が多い税理士ほど早く処理してもらえること、よりピンポイントにアドバイスがもらえます。また経験から多くのノウハウや情報を持っている税理士ほど、顧客にとっては役に立ちます。

事業承継は、いわば内部事情を税理士にすべて話さなくてはなりません。その情報提供を怠ったがために、本当はできない節税対策を適用してしまい、のちに大きな損害を被るといったケースもあります。それだけデリケートな問題ですから、信頼できる税理士に依頼するのがポイントです。

また、費用面についても経験が豊富な税理士の場合はある程度話を聞いた段階で見積もりを提示してもらえます。費用面も早い段階で提示しその根拠を説明できるのも税理士選びのポイントです。

事業承継の相談に強い税理士は誰か? 

特徴は、「依頼者の話を最後まで聞いてくれる税理士」です。事業承継の依頼者は、将来発生する相続や今どうすればいいのかということに非常に興味があります。少しでも有利な方法があれば、それを選択したいと考えています。そのニーズを把握するのが前提条件です。

そのうえで、「依頼者が実施したい事業承継ができるのか、できないのか」を明確に判断できなければなりません。できる場合はよいですが、できない場合は「なぜできないのか」を説明し、さらに代替案を提案してもらえる税理士でなければなりません。

事業承継は親族や関係者に理解を求めなければいけないことも多い案件です。依頼人1人では説明しきれないことも、一緒に説明してくれる税理士であれば信頼できます。さらに、事業承継は計画を立てて場合によっては約10年程度かけて実施することも珍しくありません。それだけの時間をかけますから、信頼できる税理士でなければ事業承継に強い税理士とは言えません。

まずは税理士の話を聞いてみることから始めるのが大切です。1人目の税理士で納得いかなければセカンドオピニオン的に2人目の税理士にも同じ質問を投げかけることで、本当に事業承継に強い税理士を見つけることができるでしょう。

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