事業承継支援研究会

第26回 事例研究問題 (11月11日事業承継支援研究会)

2019年11月07日  

11月11日(月)第26回事業承継支援研究会の事例研究問題を掲載いたします。
下記の画像をクリックしていただくことでPDFが開きますので、事前にご確認ください。

26回事業承継支援研究会 事例研究問題

事例研究26(事業承継における知的資産の承継)

【知的資産の把握と強みの深堀りのための質問力向上】

株式会社B社、配管事業者、資本金 10百万円、社員20名

経営者B社長は、中堅ゼネコンでの経験を活かし地元で配管事業者を始めて30年になります。社員は20代の専門学校を出たばかりの新人から、現場監督を長く任せてきた60代超の社員まで、年代も専門性もバラバラです。
大手ゼネコンの元請けから施工監理の負担が少なく安心して任される現場調整力を高く評価され、営業活動をしなくても先々の仕事を受注しています。
60歳を超えて事業承継を考え始め、後継者の長男を自社に入社させ、育成のために社長見習いをさせています。
事業承継計画策定にあたり、金融機関の担当者から、「強みを明確に」、「事業戦略の策定」を勧められています。強みを見つけるために、長男と一緒にSWOT分析を教えてもらい、やってみました。が、社長曰く、創業以来、当たり前のことを当たり前にやってきただけで、強みと言えるかどうか、今後どうしていけばいいのか、よくわかりません。

そこで、金融機関から中小企業の「競争力の源泉」である「知的資産経営」の専門家の中小企業診断士として相談を受けました。
B社長が言うように、中小企業の経営者が、競争力の源泉になっている強みに気がついていないことがよくあります。なぜ、顧客に評価されているのか、今後も高い評価を得続けることができるのか、外部環境・内部環境と合わせて、検討していかなければ、今後の事業戦略を策定することはできません。

P3の【知的資産 参考資料】を参考に、P2の【問題】をグループで検討し、質問例を回答欄に記入してください。

問題

下記のSWOT分析から、競争力の源泉となる「知的資産の把握と強みの深掘り」をサポートするため、どのような質問をしますか?

知的資産経営 参考資料1

知的資産とは、下記の網がけ部分の外部から見えにくい経営資源を指します。
中小企業では、氷山の上に見えるのは決算書に示される経営資源ですが、事業の現状や今後の将来性を正しく理解するには、それだけでは不十分です。
現経営者の経営力となり、取引先との関係を構築し、従業員を育成する自社の「強み」の源泉は、氷山の下に隠れていて見えないものなのです。
特に、網掛けの項目は、外部からはわかりにくい部分ですが、この目に見えない部分にこそ、競争力の源泉があります。

知的資産経営 参考資料2

見た目の業績は同じようなA社とB社があります。新しく5千万円の設備を購入するため、金融機関に融資を申し込みました。A社は融資が通りましたが、B社は通りません。
財務諸表から見える表面的な業績はほぼ同じ2社ですが、知的資産の蓄積と活用によって、今後の成長性が大きく異なります。その違いが知的資産の活用です。

事例問題26(事業承継フレームワーク/知的資産の承継)

あなたは事業承継を支援する専門家です。顧客に対してヒアリングを実施したところ、以下の課題が検出されました。どのような解決策を提示しますか?

【課題1】

B to Bビジネスを営む当社は、先代経営者の属人的な関係に基づいて大口得意先との取引を続けてきたため、社長交代によって取引が打ち切られる可能性が高い。

【課題2】

現経営者の人脈によって販売活動が行われてきたため、社長交代すると、新規顧客の開拓ができなくなる。

【課題3】

工場の製造現場では職人の高度な技術力に依存してきたが、職人も高齢化してきており、先代経営者と同時期に引退する予定だ。

【課題4】

後継者が承継することになったが、既存事業の価値や競争力の源泉が何か理解できていない。

【課題5】

親子のコミュニケーションが少ないため、先代経営者の事業に対する想いや情熱が後継者である子供に伝えられていない。